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クラス ×イト
第11章 マえぶレ 【乾英太3】
そんな風に呑気に考えてたのが、そもそもいけなかった。
コツコツと響いてきたのは、後ろから誰かが階段を上がって来ている、音。
すると――
「はい――眼鏡」
「あ――ありがとう」
そう言って、落ちていた眼鏡を手渡してくれたのは……。
それをかけ直してクッキリとした視界を回復した僕は、その顔を見て思わずギョッとしていた。
スカートからスラリと伸びる脚、その延長戦上の顔は――
「あ……藍山さん!」
まだ倒れてる僕を、藍山さんは真顔でじいっと見下ろしていた。それから――
「そうしてたら――遅れるから」
端的にそう告げると、ふいっと顔を背け先に階段を上がって行ってしまう。
その素っ気ない態度が気になり、呆然とその後ろ姿を眺めている、僕。
そしたら、今度は――。
「ねえ……そろそろ、どかない?」
と、言われた時――
「えっ、あ――!」
ようやく僕は、誰にぶつかっていたのかを知った。
「ウフフ、私なら別に、いいんだけどね」
そう言って間近で僕に微笑みかけたのは、同じクラスの――市原茜。
「すぐっ――どくからっ!?」
慌てて階段に手を置き、起き上がろうとした僕。しかしその右手が滑ると、再び前のめりにバランスを崩した。結果――
「あん!」
――むぎゅ!
僕は市原さんの胸に、顔面を埋める。さっきと合わせて、それは二度目。彼女が「クッション」と言ったのは、すなわち自分の胸のこと――らしい。
と言うことは、つまり――僕は今と同様の場面を、藍山さんに見られてしまっていることに……。
コツコツと響いてきたのは、後ろから誰かが階段を上がって来ている、音。
すると――
「はい――眼鏡」
「あ――ありがとう」
そう言って、落ちていた眼鏡を手渡してくれたのは……。
それをかけ直してクッキリとした視界を回復した僕は、その顔を見て思わずギョッとしていた。
スカートからスラリと伸びる脚、その延長戦上の顔は――
「あ……藍山さん!」
まだ倒れてる僕を、藍山さんは真顔でじいっと見下ろしていた。それから――
「そうしてたら――遅れるから」
端的にそう告げると、ふいっと顔を背け先に階段を上がって行ってしまう。
その素っ気ない態度が気になり、呆然とその後ろ姿を眺めている、僕。
そしたら、今度は――。
「ねえ……そろそろ、どかない?」
と、言われた時――
「えっ、あ――!」
ようやく僕は、誰にぶつかっていたのかを知った。
「ウフフ、私なら別に、いいんだけどね」
そう言って間近で僕に微笑みかけたのは、同じクラスの――市原茜。
「すぐっ――どくからっ!?」
慌てて階段に手を置き、起き上がろうとした僕。しかしその右手が滑ると、再び前のめりにバランスを崩した。結果――
「あん!」
――むぎゅ!
僕は市原さんの胸に、顔面を埋める。さっきと合わせて、それは二度目。彼女が「クッション」と言ったのは、すなわち自分の胸のこと――らしい。
と言うことは、つまり――僕は今と同様の場面を、藍山さんに見られてしまっていることに……。