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クラス ×イト
第11章 マえぶレ 【乾英太3】
 ずっとモヤモヤした気持ちで、午前の授業を過ごしていた僕。その昼休みになると、意を決したように自分の席を立つ。

 目指す先は窓際の席に座る、藍山さん。僕は自分の言うべきセリフを、頭の中でもう一度繰り返していた。


『朝は急いでたら、つい市原さんにぶつかっちゃってさ。あ、眼鏡を拾ってくれて、ありがとうね。それと、本はもうすぐ読み終わるから』


 よし……そう言って、自然に話しかければ、たぶん……平気。そう思いつつも彼女に近づくにつれ、カチコチに緊張してゆく僕の身体。先週以来ロクに話せていないことも、かなり影響しているみたい。

 それも含め、ともかく――

「あのさ――」

 と、その背中に声をかけようとした時だった。

「――!?」

 ポンポンと誰に肩を叩かれ、自然と顔を後ろを向ける僕。そしたら――

 ――ぷにっ。

 肩に置かれた手から伸びる人差し指が、僕の頬に突き当たっている。

「アハハハ」

 そんな超古典的な悪戯をして、無邪気に笑うのは市原さん――。

「……」

 ホント一体、なんなの……? どう反応していいのかさえわからずに、僕は只々戸惑うばかりだった……。
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