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クラス ×イト
第11章 マえぶレ 【乾英太3】
市原茜――彼女に対する印象は、何時もホンワカと笑っている。正直に言って、そんな程度だった。
只でさえ市原さんは、赤緒さんの――つまりは、イケてるグループな訳だし。それを考えただけでも、『D3』の僕との接点は皆無と言えた。
そんな彼女が、何故急に……? そんな疑問を浮べながらも――
「朝はごめん。僕のせいで、遅刻させちゃったね」
とりあえず、僕はそれを詫びた。
「そんなの、いいよー。逆に何か、楽しかったくらいなの」
「楽しい……?」
「ウフフ。なんかさー。ベタなラブコメみたいで、ちょっと新鮮な気分?」
市原さんはそう言って、小首を傾げて愉しげに微笑む。
「あはは……そ、そうなんだ」
僕は何を、釣られて笑ってるんだろ……。今はとにかく、藍山さんに――そう思い直そうとしていた、その時。
「通して、ほしいの」
「あ……」
通路を塞いでいた僕が身体を避けると、その前をスッと通り過ぎたのは、藍山さん。
「……」
そのまま教室を出て行く藍山さんを、僕は呼び止めることができずにいた。
「乾くん――どうか、したの?」
そう言って僕の顔を覗き込む、市原さんに――
「うんん……別に」
とりあえず、そう答える僕。
そう別に何一つ、大したことがあった訳じゃない。それなのに……。
何となく状況が悪化してるような気がして、僕は焦っていたのだろうか。
只でさえ市原さんは、赤緒さんの――つまりは、イケてるグループな訳だし。それを考えただけでも、『D3』の僕との接点は皆無と言えた。
そんな彼女が、何故急に……? そんな疑問を浮べながらも――
「朝はごめん。僕のせいで、遅刻させちゃったね」
とりあえず、僕はそれを詫びた。
「そんなの、いいよー。逆に何か、楽しかったくらいなの」
「楽しい……?」
「ウフフ。なんかさー。ベタなラブコメみたいで、ちょっと新鮮な気分?」
市原さんはそう言って、小首を傾げて愉しげに微笑む。
「あはは……そ、そうなんだ」
僕は何を、釣られて笑ってるんだろ……。今はとにかく、藍山さんに――そう思い直そうとしていた、その時。
「通して、ほしいの」
「あ……」
通路を塞いでいた僕が身体を避けると、その前をスッと通り過ぎたのは、藍山さん。
「……」
そのまま教室を出て行く藍山さんを、僕は呼び止めることができずにいた。
「乾くん――どうか、したの?」
そう言って僕の顔を覗き込む、市原さんに――
「うんん……別に」
とりあえず、そう答える僕。
そう別に何一つ、大したことがあった訳じゃない。それなのに……。
何となく状況が悪化してるような気がして、僕は焦っていたのだろうか。