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クラス ×イト
第11章 マえぶレ 【乾英太3】
そうして、藍山さんが出て行った教室の出口の方を、僕が呆然と眺めていた時のことだ。教室内ではそんな僕と全く無関係に、緊迫した場面が訪れている。
「コレ、書いたの。貴方なんでしょ?」
決して大きな声ではなかったけど、何処かピリッとした存在感と共にその言葉は僕の耳に届いた。否、僕だけじゃない。そこに漂う不穏な空気を察するように、多くのクラスメイトが彼女に注目してざわめき始めている。
その言葉を発していたのは――赤緒礼華。更にその隣にはクラスの委員長である、西慶介の姿も見受けられ――。
赤緒さんの手には、便箋のような紙切れが握られている。その場面はそんな二人が同調して、まるでその一人を問い詰めているようにも見えた。
赤緒さんと西くんを前にして、ションボリと肩を落として立つ、その一人とは僕の良く知る人物。
「三生……?」
その光景に胸騒ぎを覚えた僕は、急いで三人の方に歩み寄っていた。
「……」
三生は少し顔を青ざめさせ、黙って俯いている。
その様子を厳しい顔で睨みつけると、赤緒さんは怒りを滲ませるようにして言った。
「どうなの?」
三生の肩がビクリと震える。そんな様子を見かね――
「三生……なにか、あったの?」
僕は恐る恐る、そう声をかけた。
すると、僕に気がついた、三生は――
「別に……なんでもないんだ」
そう呟いて、その場から逃げるようにして駆け出して行った。
「コレ、書いたの。貴方なんでしょ?」
決して大きな声ではなかったけど、何処かピリッとした存在感と共にその言葉は僕の耳に届いた。否、僕だけじゃない。そこに漂う不穏な空気を察するように、多くのクラスメイトが彼女に注目してざわめき始めている。
その言葉を発していたのは――赤緒礼華。更にその隣にはクラスの委員長である、西慶介の姿も見受けられ――。
赤緒さんの手には、便箋のような紙切れが握られている。その場面はそんな二人が同調して、まるでその一人を問い詰めているようにも見えた。
赤緒さんと西くんを前にして、ションボリと肩を落として立つ、その一人とは僕の良く知る人物。
「三生……?」
その光景に胸騒ぎを覚えた僕は、急いで三人の方に歩み寄っていた。
「……」
三生は少し顔を青ざめさせ、黙って俯いている。
その様子を厳しい顔で睨みつけると、赤緒さんは怒りを滲ませるようにして言った。
「どうなの?」
三生の肩がビクリと震える。そんな様子を見かね――
「三生……なにか、あったの?」
僕は恐る恐る、そう声をかけた。
すると、僕に気がついた、三生は――
「別に……なんでもないんだ」
そう呟いて、その場から逃げるようにして駆け出して行った。