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クラス ×イト
第11章 マえぶレ 【乾英太3】
「あ……」
唖然とする僕をよそに、そのまま三生は教室からいなくなった。
それを何気に見送った、後――。
「赤緒――俺は別に、犯人探しなんて頼んでないぞ」
西くんはそう言うと、自分の席へと戻って行く。
「……」
「……」
期せずして、その場に残されていたのは――僕と赤緒さんの二人。明らかにピリピリとしてる赤緒さんの隣りで、僕の緊張が一気に高まっていた。
それでも三生のことが気になった僕は、勇気を出して彼女に訊く。
「あのさ……三生が、どうかしたの?」
「――!」
その時、初めて存在に気がついたように、赤緒さんがジロリと僕を睨んだ。その『女帝』の迫力に気圧され、僕は思わず怯む。
「いや……別に、いいんだけど……さ」
と、何とか言葉を絞り出し、彼女の側から離れようとした僕。
そしたら、今度は赤緒さんが僕に、こう訊ねていた。
「ねえ、喜嶋から――何か聞いてる?」
「三生から……?」
そう言いながら、僕の脳裏に浮かぶのは、当然あの時のこと――。
それは放課後の教室――そこで何かを話していた赤緒さんと瀬山くんと、そこに偶然居合わせてしまった三生。そして話を聞いてしまった三生を、赤緒さんは厳しく『口止め』している。
僕はその出来事の――傍観者。もうかれこれ、一カ月も前のことだった。