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クラス ×イト
第2章 だメンず 【乾英太1】
 それでも、僕の拙い小説を読んでくれる人はいる。今日もサイトを開いた時だ。


『この小説の続きを、とても楽しみにしています』


 そんなメッセージが、僕の個人ページに寄せられている。

 たまに来る同じ人からのメッセージは、特に感想を述べるものではなかった。それでもその端的な言葉に、僕がいつも励まされていたのは間違いがない。

 だけど、この日は――

 カタ……。

 キーボードを叩く僕の手は、思うように動こうとしなかった。


「……」

 放課後の教室であったこと。それが僕の頭から、離れようとしない。

 何であんなこと、平然とできるんだろ……?

 それは赤緒さんが、三生にした行為に対する疑問。そもそもあんなこと、する必要があったのかさえ理解できない。口止めにしたって、他にやりかたがあるように思えて……。

 昼休みに要二と話した時に、僕は赤緒さんのことを「住む世界が違う」と言った。そして改めて――ううん。たぶん今まで以上に、僕は彼女を遠い存在だと感じていた。


 凶行を果たして、立ち尽くすその姿はまさに――

 教室という小さな世界に君臨する――『女帝』だった。


 その経験も生き方も考えてることだって、僕の想像を遥かに飛び抜けているようであり。あんな光景を目の当たりにした後では、僕には自分の書いている小説が酷く稚拙なものに思えた。

 小説を書く手を止め、僕はふと呟く。


「三生……大丈夫かな?」

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