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クラス ×イト
第11章 マえぶレ 【乾英太3】
「とんでもない――?」
その忠告とやらを、受けた僕は――
「確かにちょっと個性的だとは思うけど――それが、何か問題なの?」
その真意を、裕樹に聞いてみる。
「いや……別に本人に悪気はない、とは思う。それだから、逆に厄介だ。多少、頭の中身がぶっとんでるから、振り回された方は大変だって、そんな感じ。ほら、アニメにもそんなキャラいるだろ? 天然の小悪魔タイプ。茜の場合、そんな可愛いもんじゃないけどな」
「ああ……なるほど、ね」
アニメ好きの僕にわかるように、あえて裕樹はそんな風に語ってくれていた。そう言えば、中学の時はよく一緒にアニメやマンガの話をしてたもんね……。
何となくそんな感慨を覚えた時、僕も裕樹に対して気になってたことを口にする。
「話は変わるけどさ……裕樹って最近、あまり赤緒さんたちと一緒にいないよね」
というか、こうして一人でいる処を、よく見かけるような……。
すると裕樹はやや真剣な顔をして、視線を窓の外に向けた。
「周りからは、どう見えるか知らねーけど……あの中にいるのも、結構疲れるんだよ」
「裕樹……?」
「ハハ、別にそれだけのことだ。それより、早く喜嶋を探しに行ったら?」
その時の寂しげな顔を、見たからだろうか。
「うん……じゃあ」
僕は行きかけようとして、だけど僕は再び振り向くと裕樹に言った。
「裕樹……ありがと」
それが三生のことなのか、市原さんのことなのか、自分でもわからないけれども。僕は久しぶりに、裕樹に対して素直になれた気がしていた。