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クラス ×イト
第11章 マえぶレ 【乾英太3】
その日の放課後は、僕は図書室に行かずに真っ直ぐに家に帰っていた。でもそれは僕からすれば、やや予定外のこと――。
「ねえ、少しお話ししようよ」
図書室に向かおうとした僕を、そう言って呼び止めたのは、市原さんだ。事前に裕樹からその性質を聞いていた僕は、正直に言って少しビビってしまう。
「きょ、今日は用事があるし――ゴメン」
「あん――乾くん!」
ちょっと情けない話だけど、僕は市原さんから逃げて走ると、そのまま家まで帰って来ている。
それにしても実際、市原さんはどういうつもりなのだろうか。そりゃあ、ああして話しかけられれば、悪い気はしてないけど……。
否、ダメだよ。きっと、それは罠なんだ!
まあ……どうせ本を読むだけなのだから、図書室でも家でもあまり変わらない。だから、それ自体は別によかった。
僕が気にかけているのは、三生と藍山さん――二人のこと。
あの後、休み時間を見計らい三生には話しかけている。そしたら三生は「別に、何でもないから」とか「英太くんには、関係ないよ」とか、ちょっと取りつく島もない感じだった。
本当に、大丈夫なのかな……。でもあんまり、問い詰めることもできない気もして。それも全ては、結局は赤緒さんに『口止め』されている件が、ネックになっているのだった。
「ねえ、少しお話ししようよ」
図書室に向かおうとした僕を、そう言って呼び止めたのは、市原さんだ。事前に裕樹からその性質を聞いていた僕は、正直に言って少しビビってしまう。
「きょ、今日は用事があるし――ゴメン」
「あん――乾くん!」
ちょっと情けない話だけど、僕は市原さんから逃げて走ると、そのまま家まで帰って来ている。
それにしても実際、市原さんはどういうつもりなのだろうか。そりゃあ、ああして話しかけられれば、悪い気はしてないけど……。
否、ダメだよ。きっと、それは罠なんだ!
まあ……どうせ本を読むだけなのだから、図書室でも家でもあまり変わらない。だから、それ自体は別によかった。
僕が気にかけているのは、三生と藍山さん――二人のこと。
あの後、休み時間を見計らい三生には話しかけている。そしたら三生は「別に、何でもないから」とか「英太くんには、関係ないよ」とか、ちょっと取りつく島もない感じだった。
本当に、大丈夫なのかな……。でもあんまり、問い詰めることもできない気もして。それも全ては、結局は赤緒さんに『口止め』されている件が、ネックになっているのだった。