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クラス ×イト
第11章 マえぶレ 【乾英太3】
 そして藍山さんとは結局、その後も話せていない……。

 市原さんのこと、変に誤解してないよね? なんて、それこそ僕の自意識過剰なのだろうか……。

 また変に距離を感じてしまった僕だけど、藍山さんとの繋がりは確かにあるのだ。


「よし……今日こそ」

 だから僕はもうわき目も振らずに、今日中に本を読み終えるつもり。


 そうして一心に、夕方から藍山さんの本の下巻を読み進めていた、僕は――。

「ん……?」

 もう夜になっていた頃、小説の内容に関する、とある違和感を覚え初めていた。

 この小説は、上下巻共に七章構成になっている。前にも触れたように、男女の視点の差こそあれ、どちらも章毎に同じような時間の流れでストーリーが進んでいた。

 だけど、それが下巻の七章を読み始めた時、そこに食い違いが生じ始めたことに、僕は気がついている。

 上巻では主人公の女性が、家族の反対や様々な葛藤を振り切って、まるで全てを捨てるように愛する男性の元に走る。それで六章は終わり。そしてその後の七章では、その気持ちに応えた男性と、感動的に結ばれて――エンドマーク。

 でも男性視点の下巻では、七章に入っても一向に恋人の女性が登場しない。それ処か物語の完結間際としては、盛り上がりもなく何処か淡々としていた。

 主人公の男性が過去を振り返るような、そんな描写に終始しているのである。
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