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クラス ×イト
第11章 マえぶレ 【乾英太3】
 そう考えればその少し前には、『医者に睡眠薬を処方され』とある。何かの伏線かと思っていたけど、特に主人公の女性がそれを用いた描写はなかった。

 更によく読むと、前述の遺言めいた文言の前には女性がコップに水を汲み、それをテーブルに置いて無言で見つめている、そんな描写を見つける。

 つまりは……そういう、ことなんだろう。

 そして、僕がハッピーエンドだと思い込んでいた、上巻ラストの本当の意味は……。

 混濁する意識の中での、女性の妄想――なのか?

 そう言えばそれまでの険しい展開に比べると、ラストである七章はあまりにも順調に事が運びすぎると、ややご都合主義のようにさえ感じてはいたけど……。

 僕の解釈が正しいのだとしたら、このラストを読んだ藍山さんのお姉さんの心境は……。僕はそれを、どう藍山さんに話せばいいのだろうか。

 そんな想いを抱きながら、僕は二冊の本を何度も読み比べていた。

 そうしていた時――。


「こ、これって――!?」


 僕はある意味で、小説の内容以上の衝撃的な事実に、気がついてしまった。
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