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クラス ×イト
第11章 マえぶレ 【乾英太3】
※ ※
次の日の朝――。
結局、昨夜はほとんど眠れずにいた僕。昨日とは異なり、余裕をもって早めに教室へと来ていた。
そうして、待つこと十分――。
「――!」
僕は教室に藍山さんが姿を現すや否や、その傍らへと歩み寄った。そして「おはよう」の挨拶さえ忘れ、最優先の要件を伝える。
「本、二冊とも――読み終わったんだ」
「――!」
藍山さんは黙ったまま、しかしその眼差しでその心の揺らぎを、僕に教えたようだった。
「小説の内容もそうだけど……他にも、気がついたこともあって。僕はそれを藍山さんに、伝えなくちゃならない」
「そう……」
やや逸る僕に対して、彼女は静かにそう言った後――。
「放課後に――図書室で、いい?」
「うん……わかった」
僕たちは、その約束を交わした。
そして、それを待つまでの長い時間。それが早く過ぎ去ってほしいようで、それでいて過ぎないでもらいたいような、僕はそんな複雑な心境――。
だけど、既にそれを伝えないという選択肢は――僕の頭には残されていなかった。