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クラス ×イト
第11章 マえぶレ 【乾英太3】
 そして、約束の――放課後の図書室。

 僕は一足先にそこを訪れて、なるべく人の少ない端の席を選ぶと、そこに座った。そして鞄から、昨夜読み終わった二冊の本を出すと、机の上にそれらを並べる。

「……」

 準備を整えた僕は、静かにじっと佇む。後は藍山さんが来るのを、待つだけ……。

 そして――

「――!」

 図書室に姿を現した彼女は僕を見つけ、ゆっくりと歩み寄ると隣りの席に座った。

 そんな場合ではないと知ってる筈。なのに僕は肩を並べたその距離に、胸を高鳴らせている。

 暫くそのまま席を並べていた、二人。そこまで無言だった藍山さんが、ポツリとしてこう呟いていた。

「ありがとう。――それだけは、先に言っておきたいの」

「え……?」

「話を聞いた後だと、言えなくなるかも……しれないから」

「……」

 その時の僕は、藍山さんの覚悟のようなものを感じていた。

 そして、僕は既に知っている。これから僕が藍山さんに聞かせる話のその内容が、彼女にとっては決して望ましいものには、ならないことを……。
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