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クラス ×イト
第11章 マえぶレ 【乾英太3】
僕は最初に、小説の端的なストーリーを語り。そして上巻と下巻で、それが食い違うこと。更にはそれに対する僕なりの解釈を、正直に伝えた。
「……」
それを黙って受け止めた藍山さんは、そっとその上巻を手に取る。それから、ページを捲ると最終盤の辺りを開いた。
そして――
「こうして、私の想いは永久(とわ)となった……」
「……!」
彼女が淡々と読んでいたのは――上巻の最後の一文。それも僕の解釈を後押しするような、件になっている。
「私も……思い出したの」
「じゃあ……?」
藍山さんは、コクと頷き。
「楓姉さんがいなくなった、すぐ後……私もこの物語を読んでる。だけど、哀しい気持ちだけを残して……全部、忘れてた。そうして……たぶん、私……逃げていたの」
「逃げて……? だけど……」
「自分では、楓姉さんの想いに……向き合えない。だから、私は乾くんに託した。この前に言ったこととは、きっと矛盾してる。もしかしたら、本心では私……」
藍山さんは表情は変えなかったけど、その声は微かに震えていた。
そんな彼女を間近に認めて、僕はその先の話をすることに気が咎めている。
だけど――
「僕がもう一つ、気がついたこと――それを話してもいい、かな?」
僕はそう彼女に問い――。
「何時までも『途中』では、いられない。そう、思い始めているから……乾くん、お願い。私に全てを……教えて」
藍山さんは僕の目を見据え、そう答えていた。
「……」
それを黙って受け止めた藍山さんは、そっとその上巻を手に取る。それから、ページを捲ると最終盤の辺りを開いた。
そして――
「こうして、私の想いは永久(とわ)となった……」
「……!」
彼女が淡々と読んでいたのは――上巻の最後の一文。それも僕の解釈を後押しするような、件になっている。
「私も……思い出したの」
「じゃあ……?」
藍山さんは、コクと頷き。
「楓姉さんがいなくなった、すぐ後……私もこの物語を読んでる。だけど、哀しい気持ちだけを残して……全部、忘れてた。そうして……たぶん、私……逃げていたの」
「逃げて……? だけど……」
「自分では、楓姉さんの想いに……向き合えない。だから、私は乾くんに託した。この前に言ったこととは、きっと矛盾してる。もしかしたら、本心では私……」
藍山さんは表情は変えなかったけど、その声は微かに震えていた。
そんな彼女を間近に認めて、僕はその先の話をすることに気が咎めている。
だけど――
「僕がもう一つ、気がついたこと――それを話してもいい、かな?」
僕はそう彼女に問い――。
「何時までも『途中』では、いられない。そう、思い始めているから……乾くん、お願い。私に全てを……教えて」
藍山さんは僕の目を見据え、そう答えていた。