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クラス ×イト
第11章 マえぶレ 【乾英太3】
 そして、その数分後――。

 彼女は――パタンと本を閉じる。

 二冊の本に秘められた、その言葉を――彼女は、受け取っていた。

「……」

 藍山さんは無言のまま、少し項垂れて――サラリとした髪が、その横顔を隠す。

 その表情は見えなくても、そこに佇むその姿は――今までに見ていた、どの彼女よりも儚く思えて……。


 あ……あの……。

 僕は声をかけようとして、だけど口がパクパクと動いていただけ……。彼女にかけるべき言葉が、頭の中に浮かんではいなかった。

 こんなにも近くに居るのに、彼女を遠くに感じて……。支えたいと強く思うほど、僕は自分の無力さを痛感してる……。

 いっそ彼女が泣き崩れてくれたなら、僕の華奢な肩くらい差し出してあげられるのだろう。

 だけど彼女は只々静かに――じっと身を固めるように、そこに存在している。

「……」

 僕は彼女がそうしてる限り、それを見守ることしかできそうもなかった。
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