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クラス ×イト
第11章 マえぶレ 【乾英太3】
 よりによって、そんな場面――なのに。

「……?」

 僕はその時――ふと背後に、人の気配を感じていた。

 そしたら、次の瞬間――。


「乾くーん、みーっけ!」


「わっ!」

 背後からギュッと誰かに抱きつかれて、僕は思わず顔を上げた。

 図書室にいる生徒たちが、一斉にジロリと僕たちを睨む。

「す、すいません」

 とりあえず誰にともなく、そう謝ると――僕はその騒ぎの元凶を作った人物に、小声で言った。

「市原さん――ここは、図書室なんだよ」

 その顔は見てなくても、声とその突飛な行動で察しはついている。

「アハハ、ごめんねー」

 そう言いながらも、市原さんは僕の背中から離れようとしない。何か背中には、柔らかい感じの何らかの物体が、当たっているような感覚も……。

 ホントにホントに、何故か知らないけど。実は昨日に続いて今日も、市原さんはやたらと僕に絡んで来ている。

 ともかく今の僕は、市原さんにからかわれている場合ではないのだ。
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