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クラス ×イト
第13章 ぼウそウ 【喜嶋三生】
 その時の僕は赤緒さんを前にして、ただ怯えていただけだった。

「だ、誰にも言わないよ。や、約束するからっ!」

 視線で英太くんに助けを求めるようにしながら、僕は必死にそう訴える。

 だけど――彼女はそれに、聞く耳を持たなかった。

「ちゃんと口止めしておかないと、安心できなってこと」

 僕にそう言った後、扉の処に立ち尽くす英太くんをチラッと見る。

「ねえ――誰も来ないように、そこで見張っててくれる」

「え……?」

 英太くんは僕と赤緒さんを交互に見やり、戸惑いを顕わにしていた。

 これから何かが始まることを、僕は俄かに予感する。しかし、赤緒さんの『口止め』に用いた手段は、僕の想像を遥かに凌駕するものとなった。

「ちょ、ちょっと――待って!」

 僕を前に姿勢を低くした彼女が、僕の腰に手を伸ばしてきて――

「動かないで」

 ギュッと凝らしたその瞳で、僕を見据えていた。

 美しくも険しいその表情に屈するように、身体の動きを停止させる僕。

 そして――ずるり、とした感覚と共に。あろう事か――僕の下半身は完全に露出させられてしまった。

「あ……ああ……」

 誰にも目に晒されることもなかった僕の恥部。恥ずかしく卑しくさえ感じられたのそ箇所が、今――赤緒さんの目の前にある。

 僕の胸裏は屈辱とある種の喪失感に満たされながら――。

 その一方で――その恥ずかしき身体の一部は、不可解なまでに反応を示し始めた。

「……」


 冷ややかな赤緒さんの視線を受けて、僕の恥辱がメキメキと起き上がってゆく――。
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