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クラス ×イト
第13章 ぼウそウ 【喜嶋三生】
「なんだよ……僕だって、君のこと……ううん、君のことしか考えてないのに……さ」
辿り着いていた屋上に続く階段の踊り場で、僕は涙を滲ませながら呟いた。
どうも上手くはいかない。空回りしてしまう。僕が何かいけなかったのか……。
そんな自問をしながらも、それでも僕の中の赤緒さんへの気持ちだけは、決して揺らぐものではなかった。それを確認した時――。
やっぱり、僕は間違ってなんかいない。僕は自分自身にそう言い聞かせて、自らを奮い立たせていた。
そうだ。この僕の想いの全てを一片も残すことなく、いつか赤緒さんに届けてみせる。障害は必ず付き纏うものなのだから。それに挫けずに、僕はもっと強くならなけれなならないのだろう。
これは、僕という人間の本質の目覚め。赤緒さんのことを知ることにより、僕は自分のことも理解できるような気になっていた。誰にも教えてもらわなくたって、僕はもっと成長していける筈だと、そう思いながら。
「フフ……赤緒さんを好きになって……本当によかった」
些細な過ちなんて、もう過去のこと。僕の心は既に、立ち直りつつあった。