この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
クラス ×イト
第13章 ぼウそウ 【喜嶋三生】
「……」
「……」
ホテルを後にして、僕たちは夜の街を無言で進む。
そうして暫く歩いた後、彼女は立ち止まると、僕に告げた。
「もう、私に付き纏わないで」
「……」
僕に返せる言葉はなかった。
しかし、彼女は言葉を続ける。
「貴方のために言ってるのよ。そんなこと、無駄だから……」
「僕の……ため?」
僕はその真意が気にかかり、久しぶりに言葉を発した。
「言ったでしょ、私は商品。結局は、この身を使って生きてゆくことから、逃れられずにいるわ。だから、貴方に対しても……あんなやり方をしてしまった」
「……」
あんなやり方――それは、僕に強いた『口止め』の手段のことだろう。
「流石に、もうわかったでしょう。私には貴方が好きになるような、価値などないって。今日、それを……思い知ったはず」
繁華街の裏の静かな通りに、彼女の声だけが静かに響いた。
「話は、それだけ――さようなら」
そう言って、背を向けた彼女に――
「あ……!」
伸ばしかけた手と、言いかけた言葉は――虚しく行き場を失い、僕の中で潰えていた。
そのまま佇み、することもなく見上げた夜空は今の僕にとって無意味な――満天の星空。
「……」
ホテルを後にして、僕たちは夜の街を無言で進む。
そうして暫く歩いた後、彼女は立ち止まると、僕に告げた。
「もう、私に付き纏わないで」
「……」
僕に返せる言葉はなかった。
しかし、彼女は言葉を続ける。
「貴方のために言ってるのよ。そんなこと、無駄だから……」
「僕の……ため?」
僕はその真意が気にかかり、久しぶりに言葉を発した。
「言ったでしょ、私は商品。結局は、この身を使って生きてゆくことから、逃れられずにいるわ。だから、貴方に対しても……あんなやり方をしてしまった」
「……」
あんなやり方――それは、僕に強いた『口止め』の手段のことだろう。
「流石に、もうわかったでしょう。私には貴方が好きになるような、価値などないって。今日、それを……思い知ったはず」
繁華街の裏の静かな通りに、彼女の声だけが静かに響いた。
「話は、それだけ――さようなら」
そう言って、背を向けた彼女に――
「あ……!」
伸ばしかけた手と、言いかけた言葉は――虚しく行き場を失い、僕の中で潰えていた。
そのまま佇み、することもなく見上げた夜空は今の僕にとって無意味な――満天の星空。