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クラス ×イト
第14章 カイごう 【乾英太4】
「要二? どうしたのさ、突然」
要二の声が、僕には興奮気味だと感じられていた。
『その呑気な口振りだと……まだ聞いてねーらしいな』
だけど、今度は一転トーンを落として、要二はそう言う。
「どういうこと?」
『俺も母ちゃんから、さっき聞いたばかり、なんだけどよ……』
「だから、何があったのかを、言いなよ」
時間と共に嫌な予感が膨らむのを恐れて、僕は要二を急かすように訊く。
すると、要二は最初に結果の部分を告げた。
『昨日の夜、遅く……三生が救急車で病院に運ばれた、らしいぞ』
「えっ……三生が!?」
そう声を上げた僕を、傍らにいた市原さんが不思議そうに見ている。
「怪我? それとも、病気? 一体、どうして?」
取り乱しながらそう訊くと、要二は逆に冷静になりながらその事情を伝えた。
『傷は浅いらしい。だから、その意味では、それほど心配はいらない――そう聞いてはいるんだけどな……』
「傷……って?」
『俺も親を介して聞いたことだ。あまり適当なことは言えねえ。だけど、三生の母ちゃんの話の様子だと、どうも自分でやったんじゃねえかってことだ』
「じ、自分で……!」
それって、つまり……自殺未遂? それを連想した僕の頭の中が、クラクラと揺れた。
そんな僕に、要二は話を続ける。三生と要二とは、その母親同士が親交がある。そんな事情から伝え聞いたことを、要二は慎重な口調で話してくれた。