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クラス ×イト
第14章 カイごう 【乾英太4】
「家から連絡があってな……。体調不良により、喜嶋は暫く休むことになりそうだ」
朝のHRの終わりに、北村先生は静かにそう告げていた。
「……」
体調不良とは言ったけど、恐らく先生はある程度の事情を聞いてる筈。だけど、僕の想像通りだとすれば尚更、簡単にクラスの皆に伝えられる内容ではないのも理解はできる。
否だからこそ、それを伝えた先生の何時もよりも不安げな態度が、只事ではないことを物語ってしまうような気がした。
それを聞いたクラスメイトたちの反応は、概ね平静。僕だって要二の電話を受けてなかったら、心配はしてもここまで不安な気持ちではなかっただろう。
でも教室の一部に、俄かなざわめきを感じたのは、気のせいなのか?
ともかく僕を除いて、皆が等しく先生からの情報を耳にしたのが、たった今であるなら。僕がその瞬間の反応を気にする生徒は、一人しかいなかった。それは――
――赤緒礼華。
秘密を知られたことに端を発して、その後の三生が只ならぬ執着を示した相手である。
要二が言っていた『最近、帰りが遅い』という事実も、彼女に関係してる筈。三生の行動を知っていた僕が、そう考えるのは自然なことだった。
だからその時、僕はそっと彼女の方を振り向いている。
「……!?」
その赤緒さんの表情は、僕にとって意外なものとなった。