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クラス ×イト
第14章 カイごう 【乾英太4】
 普段の自信に満ちたような赤緒さんならば、そんな目に見て取れるような反応はしないのではと、僕は思っていた。以前に告白したと言った時の三生の様子からして、彼女が相手にしているようには感じなかったからだ。

 だけど――

「……」

 その時の赤緒さんは、無言で宙を見つめるように何処かボーっとしていて……。その顔は、青ざめているようにさえ見えた。それは事情に通じた僕だからこそ、辛うじて気がついた違和感なのだろうか。否、それだけではないようにも感じる。

 もしかして、昨日――二人の間に、何かが……?


「――!」

 するとその瞬間、僕と赤緒さんの視線が重なった。

「……」

「……」

 もし普段、そんなシーンが訪れれば、勝手に気後れして僕が視線を逸らすケース。だけどこの時は、先に視線をよそに向けていたのは、赤緒さんの方だった。まるで、何かを悟られるのを恐れるかの、ように……。

 やはり、三生と彼女に、何かあったんじゃ……?

 そんな風に半信半疑のまま、僕は午前中の授業を過ごしていた。

 もちろん赤緒さんのせいで、三生が追い込まれたなんて考えるのは短慮すぎる。だけど、何かが事情があったのなら、僕はそれを知りたいとは思っていた。

 藍山さんのことで頭が一杯だったとは言え、僕はもっと三生のことを気にかけるべきだった。そんな自戒の念があるからこそ、せめて今は……。

 赤緒さんと――話をしてみよう。

 僕はそう思いながら、静かに昼休みになるのを待っていたんだ。
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