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クラス ×イト
第14章 カイごう 【乾英太4】
そして何時もより長く感じた、午前の授業も終わる。
昼休みになると、教室には何処か緩和した空気が流れるのが通常。だけどこの日は、それが違っているように感じる。
気のせいだと言えば、そうなのだろう。でも少なくとも僕にすれば、既に日常の風景ではなかった。何しろ仲間である『D3』は、この教室に今は僕しか……。そんな心細さもあり、変に過敏になってしまうことも否めない。
だけどやはり、何か妙。特に教室の中程に集まった何人かが、ヒソヒソと小声で話してるのが気にかかる。その中心にいるのは――佐川琢己、のようだった。
「……」
僕は暫く遠目から、佐川くんたちの様子を眺めていた。だけど僕には、それよりも優先すべきことがある。
「――!」
教室から出て行く、赤緒さんの姿。それを見た僕はその後を追うようにして、やはり教室を飛び出した。そして――
「赤緒さん!」
廊下を歩いてゆく彼女を呼び止める。
「――!」
赤緒さんは足を止め振り向くと、僕を訝しげに眺める。クラスの中で最も話し難い相手――『女帝』。その立ち姿を前にして、僕はやはり怯んでしまうけれど――
今は妙な遠慮を、感じてる場合ではなかった。
昼休みになると、教室には何処か緩和した空気が流れるのが通常。だけどこの日は、それが違っているように感じる。
気のせいだと言えば、そうなのだろう。でも少なくとも僕にすれば、既に日常の風景ではなかった。何しろ仲間である『D3』は、この教室に今は僕しか……。そんな心細さもあり、変に過敏になってしまうことも否めない。
だけどやはり、何か妙。特に教室の中程に集まった何人かが、ヒソヒソと小声で話してるのが気にかかる。その中心にいるのは――佐川琢己、のようだった。
「……」
僕は暫く遠目から、佐川くんたちの様子を眺めていた。だけど僕には、それよりも優先すべきことがある。
「――!」
教室から出て行く、赤緒さんの姿。それを見た僕はその後を追うようにして、やはり教室を飛び出した。そして――
「赤緒さん!」
廊下を歩いてゆく彼女を呼び止める。
「――!」
赤緒さんは足を止め振り向くと、僕を訝しげに眺める。クラスの中で最も話し難い相手――『女帝』。その立ち姿を前にして、僕はやはり怯んでしまうけれど――
今は妙な遠慮を、感じてる場合ではなかった。