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クラス ×イト
第14章 カイごう 【乾英太4】
 仮に――等しく三生のことを心配する二人であった、としても。

「……」

「……」

 残念ながら現在の僕と赤緒さんとは、単なるクラスメイトという域を超えて、腹を割って話せるような関係ではない。

 結果――僕たちの会話は、そこで途切れた。

 そして、赤緒さんは――想像もつかないような深い事情を、暗に匂わせている。僕は漠然と、そんな風に感じていた。

 そうして、黙って立ち尽くす僕たちの横を――

「!」

 チラッと見やりながら、通り過ぎていたのは――藍山栞。

 瞬間、その姿に気を取られてしまった、僕。

「もう、用は済んだみたいね」

「あ……!」

 そして赤緒さんは、そんな僕に背を向けて廊下を歩き始めていた。

 結局、何も聞けずに、僕は一人その場に残されてしまっている。

「……」

 ホント僕って、ダメな奴……。

 三生に対しても、赤緒さんに対しても、そして――藍山さんに対してすら。何もかもが中途半端になっている自分を、僕はひっそりと嫌悪していた。

 そして、そんな僕が頼れる相手も、今は側にはいない。そんな感じで、孤独感に苛まれ俯いていた時だった。


「――乾」

 と、名を呼ぶ声。それに反応して、顔を上げた僕の前には――

「瀬山くん……?」

 瀬山宗助が、立っている。
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