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クラス ×イト
第14章 カイごう 【乾英太4】

「礼華と何を話していた?」

 瀬山くんは、僕に訊いた。

「それは……」

 口籠った僕を見て、瀬山くんはふっとため息をつく。

「アイツの様子、何か変なんだ。俺はそれが朝から気になっている」

「――!」

 その時、僕は不意に二日前のある場面を思い出していた。

 それもやはり、昼休みのこと。三生を問い詰めるような、赤緒さんの姿があり。それを気にした僕に対して、瀬山くんは今と同じような対応を取っている。

 僕はそこに違和感を覚えた。それは赤緒さんと瀬山くんの、温度差みたいなもの。

 彼ら二人は誰もが羨むような恋人同士。それが周囲から見た、イメージだ。

 でも何度か瀬山くんと話す内に、そう簡単な関係ではないと僕は気がつき始めている。少なくとも今の瀬山くんは、本人ではなく僕に話を聞こうとしているのだから……。

 そして――三生が期せずして知ってしまった『秘密』。その時に赤緒さんが話していた相手が瀬山くんである以上、それは瀬山くんの『秘密』でもある筈だ。

 だのに、それを堅固に『口止め』した赤緒さんに対して、瀬山くんの方は何ら気にした様子は見られなかった。それこそが、違和感の正体。

 つまり、瀬山くんは三生に話を聞かれたことを知らないし、赤緒さんからも聞かされてはいない――ということ?

 そこに考えが至ると――


「瀬山くんは、知ってるのかな」

 僕は期せずして一歩、踏み込んだ話を始めた。
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