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クラス ×イト
第14章 カイごう 【乾英太4】
「知ってる――とは?」
瀬山くんは、心なしか表情を引き締めたようだった。
「三生は、聞いてしまったんだ」
「喜嶋が……聞いたって、一体……?」
言ってしまっていいのか……? でも瀬山くんの関心を煽ってしまってる以上、既に後戻りはできなかった。
「もう、一カ月以上前の放課後。君と赤緒さんが、教室で話していた時――実はその場に、三生が居合わせていたんだ。君たちは誰もいないと思って、恐らく人に聞かれては困る話をしているはず……」
「――!?」
瀬山くんの顔色が変わる。どうやら、それがどの場面であるのか、心当たりはあったようだけど……。一方でその様子から察することができるのは、やはり三生に聞かれていたことを、知らなかったということ。
やや呆然とした瀬山くんを前に、僕は話を続けた。
「誤解される前に、これだけは言わせてほしいんだけど……。三生はその話を、誰にも喋ったりしてないよ。もちろん、僕にだって。それだけは、僕が絶対に保証する」
「……」
息を呑むようにして話を聞いていた、瀬山くん。僅かな沈黙の間に、僕の話を咀嚼したのだろうか。緊張を顕わにしていたその顔が弛緩すると、苦笑とも自嘲ともつかない微妙な笑顔を浮かべている。