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第14章 カイごう 【乾英太４】

　意味ありげな態度を取っている、佐川くん。それと同調するように、何か含みを感じさせながら、周囲と目配せする人たちが少なからずいた。中には隣同士、ヒソヒソと話す姿も見られ――

　そんな人たちを、西くんは不愉快そうに眺めて言う。

「一体、何なんだ……？　言うべきことがあるのなら、言ってみろよ。仮にも今は、話し合いの時間だ――別に、遠慮はいらないんだぞ」

　そのギロッと視線を避けるようにして、教室はまた静けさを取り戻した。

「チッ……」

　と、思わず舌打ちを西くん。はっきりとした性格であろう彼にしてみれば、この様な雰囲気が気に入らないのも、当然か……。

　それは何も、西くんに限ったことではないのだろう。何かを仄めかすような佐川くんたちに対しては、僕も若干の苛立ちを感じた。

　それは僕の中に膨らみ始めていた、胸騒ぎがそうさせるのかもしれない。


「西――じゃあ、軽く俺の方から」

「どうぞ」

　西くんと言葉を交わし、北村先生が重い腰を上げるように立ち上がる。そして教卓に手をつくと、クラスの一同の顔をじっくりと見渡した。

　何を言い出そうとしているのかと、クラスメイトたちの視線が先生へと集まってゆく。