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クラス ×イト
第14章 カイごう 【乾英太4】
「……」
激しく猛る堂林くんの言葉を受け、瀬山くんは冷静な表情を崩さずに、そっと首元の手を払い――そして、言う。
「人はそれぞれ違うから。だからこそ、互いに影響し合ってしまう。お前のせいだと言ったのは、そんな意味――それを気にしても、仕方のないことだ。要は、生き方の相違だからな……」
「なんだよ、それ……お前の言うことは、俺にはさっぱりわかんねえ」
「すぐに――わかるさ」
「……?」
その達観したような瀬山くんの顔は、僕と昼休み話した時と同じだと思った。
何か覚悟を滲ませたような雰囲気を醸し出し、あれだけ熱を帯びていた堂林くんもその勢いを削がれている。
「堂林――席に着け」
「亮伍、お願い」
西くんと海藤さんに、言葉をかけられ――
「チッ……」
舌打ちを残し、堂林くんは自分の席に戻った。
一旦、教室内は形の上では、平静さを取り戻す。だけどそれは、それぞれに孕んだ想いの一端が、とりあえず行き場を見失っていただけ……。
この後に起こる幾つかのうねりが、この僕にも降りかかるような……。その前兆としての不安定な空気が、確かに教室を支配していた。
だから――瀬山くんが「すぐに」と言ったのも、恐らくはそれを察してのことだろう。
そして、そのうねりは――ガラッ、と扉が開いたことが皮切りとなった。
「ちょっと、何かあったの? 声が隣まで、聴こえているわよ」
そう言って顔を出したのは、隣の教室で授業をしていたらしい――佐倉瑞穂先生だった。
激しく猛る堂林くんの言葉を受け、瀬山くんは冷静な表情を崩さずに、そっと首元の手を払い――そして、言う。
「人はそれぞれ違うから。だからこそ、互いに影響し合ってしまう。お前のせいだと言ったのは、そんな意味――それを気にしても、仕方のないことだ。要は、生き方の相違だからな……」
「なんだよ、それ……お前の言うことは、俺にはさっぱりわかんねえ」
「すぐに――わかるさ」
「……?」
その達観したような瀬山くんの顔は、僕と昼休み話した時と同じだと思った。
何か覚悟を滲ませたような雰囲気を醸し出し、あれだけ熱を帯びていた堂林くんもその勢いを削がれている。
「堂林――席に着け」
「亮伍、お願い」
西くんと海藤さんに、言葉をかけられ――
「チッ……」
舌打ちを残し、堂林くんは自分の席に戻った。
一旦、教室内は形の上では、平静さを取り戻す。だけどそれは、それぞれに孕んだ想いの一端が、とりあえず行き場を見失っていただけ……。
この後に起こる幾つかのうねりが、この僕にも降りかかるような……。その前兆としての不安定な空気が、確かに教室を支配していた。
だから――瀬山くんが「すぐに」と言ったのも、恐らくはそれを察してのことだろう。
そして、そのうねりは――ガラッ、と扉が開いたことが皮切りとなった。
「ちょっと、何かあったの? 声が隣まで、聴こえているわよ」
そう言って顔を出したのは、隣の教室で授業をしていたらしい――佐倉瑞穂先生だった。