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第14章 カイごう 【乾英太４】

　一気にどよめく、クラスの皆を――


「騒ぐな！　静かにしろ！」


　西くんは冷静に、そう一喝した。


「――!?」

　しかし、思わぬタイミングで身近な名前を聞いた僕は、既に少なからず動揺を来たしてしまっている。

　要二と佐倉先生の間に、何かしらあったんだろう、って。それは、要二の態度から察してはいたけれど……。だけど、まさかそんな……？

　でも、それが事実であることよりも、今は……。クラスの皆の前にして、それが語られてしまったことこそ、重大な出来事だった。

　まるで――僕の抱いたその不安を増加させることが目的であるかの如く、佐川くんはこんなことを言い始めている。


「アイツの休学した理由ってさあ――俺らには何も説明されてないじゃん？　そしたら、この話が持ち上がってきたわけ。で――俺、ピンと来たんだ。休学ってのは、あくまで表向きの理由――実際は、その件が原因で処分されたんじゃねーの、ってさ」


「……」

　とんでもない誤解を、仲間に向けられ――怒りを覚えた僕の身体が、小刻みに震えた。

　ち、違うんだ……要二が休学した……本当の理由は……。

　僕は耐えきれずに、声を上げようとした時だった。


『まだどうなるかわかんねえから――クラスの連中には、内緒にしといてくれよ』


　僕の脳裏には――そう言った要二の言葉が過っている。