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クラス ×イト
第14章 カイごう 【乾英太4】
「……」
如何に要二に口止めされていようとも、ここは誤解を解くべきではないのか……。そんな葛藤が僕の中で、激しくせめぎ合う。
けれど――休学の理由の部分を訂正できたとしても、佐倉先生とのことを否定することにはならない。それでは、今の騒ぎを止めることは……。
「……ッ!」
僕は机の上の拳を、ギュッと握りしめた。
結局は、僕に勇気がないから……?
この激しく揺れ動く教室の最中に於いて、僕はまだ傍観者という殻の中に閉じ籠っている。
思い思いのことを口にしているクラスメイトたちの囁くような声が、ノイズとなり僕の精神を虫食み始めていた。
そんな一同を前に、西くんは飽くまでも平静。
「皆――口を噤んで、俺の話を聞いてほしい」
その落ち着いた声が、逆に効果的だったように。皆は周囲と話すのを止めると、再び西くんに注目していた。
そして、完全に騒ぎが落ち着くのを待ち――
「去河の事情は、俺にしても詳しくは知らない。だがどちらにしろ、今ここに居ない奴のことを憶測だけでアレコレと言うべきではないだろう。それは単なる、陰口だ。当然ながら、仮にもHRの場で議題として扱う案件ではない。俺はそう考えるが……反論はあるか?」
西くんはそう言って、険しい顔で一同を見渡した。