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クラス ×イト
第14章 カイごう 【乾英太4】
「礼華! どうしたの? とにかく、落ち着いて――ね、座ろう」
頻りに彼女を心配した山村さんの言葉が、徐々に一同の注目を集める結果に……。
およそ見覚えのない赤緒さんの姿は、ある意味で三生の話以上のインパクトを、クラスメイトたちに与えているかのようで……。
唖然としたそれらの視線に晒されながら、赤緒さんは青ざめたその頬に涙を伝わせ続けていたんだ。
と、そこへ――。
「礼華……」
そっとその名を呼ぶと、傍らに寄り添っていたのは――瀬山宗助。
赤緒さんの身体と――何処かへ行ってしまいそうな、その心。瀬山くんは、その両方を――しっかりとその腕に抱き留めていた。
「大丈夫だよ……礼華は、悪くない」
「ああっ……宗助!」
瀬山くんが微笑みかけると――拠り所を求めるようにして、赤緒さんがその胸に縋る。
「……」
西くんも、佐川くんも――誰もが同様にして。
その異様でもあり、美しくもある光景を前に――暫くの間、言葉を失うとその目を奪われていたようだった。