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クラス ×イト
第14章 カイごう 【乾英太4】

「…………」


 その時――僕は、ポツンと孤独だった。


 瀬山くんの腕に抱かれ、徐々に落ち着きを取り戻してゆく――赤緒さん。

 赤緒さんの涙の訳は、誰も知らなくて……。

 それでも、その何処かドラマチックな場面を、クラスの皆が黙って見つめていた。


「……」


 皆の関心がその二人に注がれる中にあって。僕は一人――じっと俯くと、机の天板の模様を何となく見つめている。


 あれ……何だろう? 僕は、何をしてるの……?


 三生のことが心配で堪らなくて……。赤緒さんとの間に何があったのか、それだって気になっている筈なのに……。

 要二の受けた誤解だって、そのままにはしていたくはない。それを正せるのは、僕しかいないのに……。

 意味もなく、他に何もできずに――只、身動きも取れずに黙る。


 あ、そうか……! 僕のことなんて、誰も気にしてはいないんだ。


 その瞬間、僕の心を苛んでいたのは――何とも言えないような、激しい疎外感。

 所詮は――クラスのお零れ。それを自覚するから、『D3』な訳で……。それも今は、たった一人だけ――それなのに、『D3』なんて――さ。

 要二も三生もいなくて、それなのに……その二人の話題に、声を上げることもできない……。


 たった一人の弱虫――消えて無くなりそうな――――僕。
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