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クラス ×イト
第14章 カイごう 【乾英太4】
そんなことって、とても慣れないことだから……。
僕のその勢いが、長く続くことはなかった。
やがて――シーンした教室の中で次第にその雰囲気に呑まれると、僕は凍えたようにその肩を窄める。
そして――身体は小刻みに震えて、気がつけば目から涙が溢れていたんだ。
瞬間的な猛りと怒りを、既に僕は何処かに置き忘れて――しまって。
それでも口をついたのは、心根にあった想いなのだろうか……。
「誰も……僕たちのこと……ううん、僕のことなんか、見ていないんだ」
僕はポツリと、そう呟いていた。
そんな自分を、まるで駄々っ子みたいだって感じると――情けなくって、妙に可笑しくさえ思えている。
すると――
「ああ、そうだよ!」
「――!」
――ドッ!
佐川くんは右足を用いて、僕の身体を強く蹴り剥がした。
「ぐっ……」
蹴られたみぞおちの辺りを抑え、床に蹲る――僕。
それに対して、ズボンをポンポンと払いながら立ち上がった――佐川くん。
その顔に怒りを顕わにして、僕を見下ろしていた。
「いきなり、何してくれてんだよっ! ホント、意味わかんねーし」
「……」
僕が恐る恐る見返すと、佐川くんの表情がニヤッとしたニヒルな笑みに変わる。
そして――
「お前の言う通りだよ、チビ。お前らのことなんか、誰も気にしてねーから」
僕をあざ笑うように、そう言った。