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クラス ×イト
第14章 カイごう 【乾英太4】
「……!」
その強烈な言葉が脳裏に響くと、僕は床に縮こまってダラリと頭を垂れる。完全に戦意喪失――というか、そんなもの最初から、僕の中にはなかった。
それでも佐川くんは、情け容赦なく更に言葉を浴びせる。
「――けどな、それって自分のせいなんだぜ。地味に隅っこでイジイジしてるから、そんな連中――イチイチ相手にするかよ。なあ――そうだろ?」
求められたその同意に、何人かがクスクスとした笑い声で応えていた。それがまた、僕の疎外感を高めている。
「だけど、まあ――今は、頑張ったじゃん。その分――特別に、相手はしてやらねーとな」
佐川くんの足が高く上がり――その上履きの靴底が、僕の顔面を踏みつけようとして、迫っていた。
「――!?」
思わず僕が目を瞑った、その時のこと。
「もう、よせ――英太に手を出すなよ」
……え?
その意外なセリフを耳にして、そっと目を開けた僕の――
その前に立ちはだかっていた、その背中は――――澤田裕樹のもの。
「どうした、澤田ぁ! 正義の味方気取りなら、ダセーから止めとけよ?」
思わぬ邪魔を受け不愉快そうな佐川くんに、裕樹は言う。
「別に――ただ、英太を庇う理由が、俺にはあるから」
「……」
僕は裕樹の姿を見上げ、その言葉を聞いた。
対峙した二人により、緊迫する教室。
その扉がガラッと音を立てたのは、そんなタイミング。
「お前ら――一体、何をしてる?」
顔を見せたのは、騒ぎを聞きつけたのであろう――北村先生と佐倉先生だった。