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クラス ×イト
第15章 じゅバく 【赤緒礼華】
「瀬山――」
そう言って一歩、宗助に近づく――西。だけど、その次の言葉はない。
それを眺めて、宗助は言った。
「返事なら、別に――必要とは、してないぜ」
「……」
じっと宗助を見据えた、西。その視線を静かにかわし、宗助は何気に空を仰ぐ。
「ガキの頃からの、親友。だが、過ごした時間と共に――俺の中で、それは変わっていった……。親友という傘の下で、お前の側にいられるのは、俺にとって悪くはなかったが――」
前髪に隠れた瞳で、何かを見つめて――
「それでいて……辛かったよ」
宗助は、ポツリと呟いていた。
木々をざわめかせた風が、二人の間を吹き抜けてゆく――。
「瀬山――俺は――」
言いかけた西の言葉。それを、出した右手で制して――
「頼むよ。今は何も、言わないでくれ」
「……」
「とにかく、これで――俺は俺らしく、前へ――進むことができる。今は――何処かスッキリとしている」
「瀬山……」
「嘘じゃ、ないんだ」
宗助は真剣な顔でそう言って、西に背を向けた。
そして、ゆっくりと確実に――その足で歩み始めて行く。