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クラス ×イト
第15章 じゅバく 【赤緒礼華】

「……」

 私が仰ぎ見た宗助の横顔には、気持ちが滲んではいないように見える。

 その隣を歩くことが、急に切なく感じて――私は堪え切れずに、口を開いた。

「ごめんなさい……」

 まるで意図せずに、口をついた言葉。それはたぶん、私たちのことを、宗助に委ねてしまったことに対して……。

 それなのに、宗助は優しい微笑みを向ける。

「礼華には、感謝してる。ずっと……俺は支えられていた」

「ち、違う……。支えられてたのは、私で……それに、私は……」

「これで、いいんだよ。礼華」

「宗助……」

「だから……」

 そう言って、前を見つめた宗助の――それに続く言葉が、私は怖かった。

 だけど――

「……いや」

 宗助は一旦、そこで言葉を切る。

 それから、改めて私に真剣な顔を向け、言った。

「礼華――もう、媛交なんてするな」

「え……?」

「礼華の親父さんには、俺から話す。ろくに仕事も、してないんだろ?」

「それは……」

「礼華が、背負うべきものじゃない。最も、この俺が……偉そうに言えた義理では、ないよな」

「そんな……それこそ、宗助が――気に病むことじゃ、ないの」

「……」

 宗助が言葉を止めた、その時。恐らく私たちは、同じ光景を思い浮べている。

「そう言えば、さ」

「なに……?」

 急に悪戯っぽく笑うと、宗助は言った。


「礼華、いつの間にか――俺のこと、宗助って呼んでいるんだな」
 
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