この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
クラス ×イト
第15章 じゅバく 【赤緒礼華】
「……」
私が仰ぎ見た宗助の横顔には、気持ちが滲んではいないように見える。
その隣を歩くことが、急に切なく感じて――私は堪え切れずに、口を開いた。
「ごめんなさい……」
まるで意図せずに、口をついた言葉。それはたぶん、私たちのことを、宗助に委ねてしまったことに対して……。
それなのに、宗助は優しい微笑みを向ける。
「礼華には、感謝してる。ずっと……俺は支えられていた」
「ち、違う……。支えられてたのは、私で……それに、私は……」
「これで、いいんだよ。礼華」
「宗助……」
「だから……」
そう言って、前を見つめた宗助の――それに続く言葉が、私は怖かった。
だけど――
「……いや」
宗助は一旦、そこで言葉を切る。
それから、改めて私に真剣な顔を向け、言った。
「礼華――もう、媛交なんてするな」
「え……?」
「礼華の親父さんには、俺から話す。ろくに仕事も、してないんだろ?」
「それは……」
「礼華が、背負うべきものじゃない。最も、この俺が……偉そうに言えた義理では、ないよな」
「そんな……それこそ、宗助が――気に病むことじゃ、ないの」
「……」
宗助が言葉を止めた、その時。恐らく私たちは、同じ光景を思い浮べている。
「そう言えば、さ」
「なに……?」
急に悪戯っぽく笑うと、宗助は言った。
「礼華、いつの間にか――俺のこと、宗助って呼んでいるんだな」