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クラス ×イト
第15章 じゅバく 【赤緒礼華】
「……」
夕暮れ時、私は一人――喜嶋三生の入院する病院へと向かう。
その足取りは、やはり重い。
昨夜のことや、あの放課後の教室でのことが頭の中を巡ると、彼を追い詰めてしまった自分を、ひたすらに責めた。
別れ際に、宗助が言っている。
「誰かを想う気持ちが、他の誰かを傷つけたり。想いが強い故に、何かを見失ったり。或いは、ずっと秘めていた想いが報われなかったり……とか。そこに悪意なんてなくても、人は苦しむ時があるんだ。高校二年――特に俺たちは、そんな経験をする頃なのかもしれない」
そして、宗助は安堵するような、微笑みを向けた。
「礼華が真っ直ぐに向き合えば、喜嶋だってわかってくれるさ」
「……」
ともかく――無事な姿を、この目で確認して、彼に詫びよう。
そしてもし、聞いてもらえるのなら――彼には包み隠さず、本当の自分のことを語ってみたいと思う。
彩られた『商品』としての私、ではなく――自分でも見失いかけていた、本当の自分。
「……」
それは、何故なのだろう……?
喜嶋くんと話すことで、私はそれを取り戻せるような――そんな、気がしていた。