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クラス ×イト
第15章 じゅバく 【赤緒礼華】

「お友達?」

 病院の受付で名前を記入すると、私はそう問われていた。不意な質問に戸惑い、私はぎこちなくこう答える。

「お、同じ学校の……クラスメイト、です」

 ホント、私はどうしてしまったのだろう? こんな些細なことに、動揺したり、なんて。昨日までの自分なら、あり得ないことだった。

 人前で弱みを見せるのを、酷く嫌っていた。そんな私は、今は見る影もない。表層の何かが剥がれ落ちてゆくのが、心許なくもありながら。

 でもそれは、良い変化なのだと――宗助は、言ってくれていた。


「南棟――右奥の通路を進んでね。そこの三階――『308号室』よ」


 受付の女性に教えられ、私は喜嶋くんの病室の前に辿り着く。

「……」

 個室らしきその病室の扉の前で、ノックをしようと握った右手。なのにその手は、一向に音を鳴らそうとはしていない。

 この私が――顔を見せても、いいのか。またその迷いが、私を苛んでいた。

「――!」

 そうした時、中から聴こえてきた話声を、ふと耳にする。『乾も行くと言ってた』――と、宗助の言葉を思い出した。

「やっぱり、今日は……」

 そう呟くと、私は右手を下ろした。やはり、場違いだ――と、そう感じて。

 だけど――私が踵を返そうとした、その時。


「飲み物、買って来るよ」

 その声と共に、期せずして病室の扉は開かれていた。

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