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クラス ×イト
第15章 じゅバく 【赤緒礼華】
「あ……赤緒さん?」
そこで、ばったりと顔を合わせたのは――乾英太。
喜嶋くんの友人である彼は、私の来訪に明らかな戸惑いを見せた。
と、そこへ――
「どうした、英太。誰か来たのか……よ!?」
「――!」
一呼吸、遅れて顔を見せたのは――去河要二。彼もまたその顔に、ギョッとした驚きを滲ませている。
その意味では、休学中の去河の方が、余計に意外に感じたようだ。恐らくまるで事情を知らない分、素直にその疑問を口にする。
「なんで――『女帝』が、ここにっ?」
ほとんど接した憶えのない、その二人。『女帝』とは、どうやら私のこと? ――らしい。そう呼ばれたことが不思議と、少しだけ可笑しく思えていた。
それでいて瞬間、私は自然とその呼称に相応しくあろうとしたのか。何時ものような険しい視線を、彼らに向けてしまった。
「……」
蔑むような冷ややかな瞳が、彼らをたじろがせてゆく。
「あ、いや……こっちの話、だけどよ。な、なあ――英太」
「あ、うん……じゃなくて。そこで、僕に振らないでくれない」
「なんでだよ。『女帝』って最初に呼び始めたの、お前じゃねーか」
「だ、だから……今は、そんなこと関係ないでしょ!」
「……」
私を前に、じゃれ合うような二人。そんな姿を見て、自分は明らかな異物だと感じる。
そうした時――。
「別に構ってくれなくても、いいわ。私はここに――用があって来てる訳では、ないから」
私は無愛想にそう言うと、その場を立ち去ろうと――否、逃げ出そうとしていた。
だが――
「もしかして――赤緒さんが、来てるの?」
「――!」
病室の奥から聴こえたその声が、図らずも私の身動きを止める。