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クラス ×イト
第15章 じゅバく 【赤緒礼華】
「三生……大丈夫、なの?」
「うん……平気だよ」
その短い確認を取ると、他の二人は顔を見合わせて互いに頷く。そして、その意思の疎通を終えると、そのまま病室を出て行った。
そこに残されてしまった、私。二人きりとなり、慌て言葉を探した――結果。
「き、傷は……どう、なの?」
最も気になっていたこととは言え、あまりにも不躾なもの。
それでも喜嶋くんは、少し照れたようにして、こう話してくれた。
「あ、それが……出血は多かった割には、大したことないんだ。たまたま空きがあって、個室になんて入ってるから……ちょっと、大袈裟な感じだよね。でも大丈夫――明日には、退院できるみたいだから」
「そう……」
「うん……」
会話が一旦、そこまでで――途切れる。
良かった、と――とりあえず、ホッとしたいのも山々。だけど、それでは無責任過ぎるから。大事に至らなかったから、それでいい――筈もなかった。
私が真に気にすべきは――彼の見えない、傷。
沈黙の続く病室で、時を於けば口が重くなりそう。そう感じた私は、何よりも先に言うべき言葉を発しようとして――でも。
「ごめんなさ――」
「赤緒さん! ごめん!」
私のその声は、喜嶋くんによって、掻き消されてしまった。