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クラス ×イト
第15章 じゅバく 【赤緒礼華】
「だから……どうして?」
私は意味もわからずに、動揺して、同じことを問いかける。
すると、彼ははにかんだような細やかな笑顔で、私に言った。
「だって――赤緒さんは、ここに来てくれてる、でしょ?」
その眼差しと言葉に、私の身体が小刻みに震えて、ゆく――。
「そ、それは……貴方が無事だと、聞いて……わ、私は自分が……自分が楽にっ、なりたくって……だからっ!」
身体と同じく上擦る声で、私は必死に――一体、何を訴えようとしているのだろう。
それを受け止め、喜嶋くんは――
「違うよ――赤緒さん。だから――泣かないで」
あ……!
彼に言われて初めて私は、頬を伝う涙に――気づいた。
「赤緒さんは、優しい人だよ。だから、瀬山くんのことで、あんなにも必死に。何よりも、その涙が――その証拠」
「…………」
私は俯き――じっと思慮し、それから言う。
「やっぱり……そんなの違うわ。私が優しいなんて……間違ってる」
「赤緒さん……?」
「だって、私――言い訳をする為に、ここまで来ているの。だから――」