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クラス ×イト
第15章 じゅバく 【赤緒礼華】
「言い訳………?」
「そうよ。昨日の夜――私が貴方に、見せた姿。だけど――私だって、望んであんなことしてる訳じゃない。つまり、私がしたいのは、そんな――言い訳」
「赤緒さんが、それを望んでないことくらい、僕にだってわかるよ。もちろん、詳しい事情は知らないけど。それはたぶん、お金が必要だったからで――」
「それだけじゃ、ないの!」
「え……?」
キッと強く睨みつけた私に、喜嶋くんは驚いた。
「ごめんなさい……」
自分が傷つけた相手に対して、重ねた非礼を――まず詫びて。
もう、全てを話すしかない……。
「……」
私は密かに過去を遡る、その為に必要なだけの覚悟を――決めた。
悲壮な表情を晒す私を、心配してなのだろう。
「赤緒さん……大丈夫? 顔色が……」
彼に逆に心配されてしまった。気遣ったその言葉に、思わず苦笑を浮かべていた――私。
「私の話――聞いてもらっても――いい?」
「うん。僕……聞かせてほしい」
それなのに、受け止めようと、真っ直ぐな眼差しの――彼。
それに応えるようにして――私は忌まわしき、記憶を辿った。
※ ※
私がその兆しを感じたのは、三年前の春。中学二年生になった、頃。
ある日の晩――酔って帰った父は、泥酔しおぼつかない足取り。それを心配し玄関に駆け寄った私に――父は、こう言った。
「チッ……段々と、母親に似てきやがる」
吐き捨てるような、言葉。それを、発端するように――私は呪縛の最中へと、絡め取られてゆくのだ。