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クラス ×イト
第15章 じゅバく 【赤緒礼華】
「む、娘は、まだ中学生だぞ!」
話を聞いていた父が、そう口を挟むが。
「だからこそ、いいって事情も――こんな世の中には、多々ありましてね」
「し、しかし……それじゃあ――」
白岩さんは眉尻がピクリと動かすと、凄みを増した顔を近づけて父に迫る。
「人身売買だと――もしかして、そう言うつもりですかな?」
「うっ、だが……」
その迫力に逆らえず、口籠る父。
「お互い言葉には、気をつけましょうか。コッチは善意で、アンタの借金をどうにかする為、協力しようとしてるだけですからね。もし、他に返せる算段があるなら、もったいぶらずに教えてもらいたいものですなぁ」
「そ、それは……」
「それとも――自己破産でも、してみるかい? ですがね、聞いてくださいよ。私はガキの時分、親にこう教えられたもんです。人に借りたものは、必ず返しなさい――とね。私の親の教えは、間違っているんですかねぇ?」
「そ、そんなこと、一言も……。私にだって、返すつもりはある」
「そうですか、それを聞いて安心しました。ではアンタにも、仕事を紹介しましょう。だが、こう言ってしまうのもなんだが――娘さんは恐らく、アンタの数十倍は稼ぎますよ。私は信頼の於ける『いいお客に』、心当たりがありましてね」
「……」
「アンタには似てないから、きっと母親似なんでしょうな。別れた奥さんに、感謝するといい」
「くっ……」
その時、屈辱に満ちた顔で――父は私を見た。
「お父さん……?」
その瞬間――既に、私の運命は決していたのだろう。
話を聞いていた父が、そう口を挟むが。
「だからこそ、いいって事情も――こんな世の中には、多々ありましてね」
「し、しかし……それじゃあ――」
白岩さんは眉尻がピクリと動かすと、凄みを増した顔を近づけて父に迫る。
「人身売買だと――もしかして、そう言うつもりですかな?」
「うっ、だが……」
その迫力に逆らえず、口籠る父。
「お互い言葉には、気をつけましょうか。コッチは善意で、アンタの借金をどうにかする為、協力しようとしてるだけですからね。もし、他に返せる算段があるなら、もったいぶらずに教えてもらいたいものですなぁ」
「そ、それは……」
「それとも――自己破産でも、してみるかい? ですがね、聞いてくださいよ。私はガキの時分、親にこう教えられたもんです。人に借りたものは、必ず返しなさい――とね。私の親の教えは、間違っているんですかねぇ?」
「そ、そんなこと、一言も……。私にだって、返すつもりはある」
「そうですか、それを聞いて安心しました。ではアンタにも、仕事を紹介しましょう。だが、こう言ってしまうのもなんだが――娘さんは恐らく、アンタの数十倍は稼ぎますよ。私は信頼の於ける『いいお客に』、心当たりがありましてね」
「……」
「アンタには似てないから、きっと母親似なんでしょうな。別れた奥さんに、感謝するといい」
「くっ……」
その時、屈辱に満ちた顔で――父は私を見た。
「お父さん……?」
その瞬間――既に、私の運命は決していたのだろう。