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クラス ×イト
第15章 じゅバく 【赤緒礼華】
その男は、それまでの客とは、何処か違っていた。だけどそれが、いい意味の筈もなくて……。
男が待つ、そのマンションの最上階の部屋。そこに私を連れ立った白岩さんに、男は言う。
「白岩くん――本当に、大丈夫なんだろうね? こう言ってはなんだが……私は君たちと違って、立派に社会に貢献して生きてきた人間なのだよ。地元では、それなりの名声を博し、大事な家族だってある。こんな小娘と遊んだばっかりに、何ひとつ失うようなことは、あってはならないんだ」
ギラギラした目と脂ぎって大きな迫力のある顔つき。終始、蔑むような態度で、その男は私たちの前に存在した。
「ええ……ご迷惑おかけするようなことは、決してありませんよ。この娘に関しては、私が責任をもって一切を管理しております。どうか、ご安心して、お楽しみください」
白岩さんがそう言ったのを聞くと――
「そう……か」
男は初めて、その隣の私にジロリとした視線を向ける。
「……」
それまでも、散々。大人の男たち品定めする如き目に、晒され続けた私。
だけど、そんな私が怯ませるほどに、その男の纏った雰囲気は――何処か禍々しかった。
「歳は?」
男にそう聞かれ、私は思わず白岩さんの顔を仰ぐ。普段なら、暗黙の中で語ってはならない部分だった。
しかし、白岩さんが静かに頷くのを見て、私はそれに答える。
「14歳……」
すると――
「ふん。息子と同じじゃないか……。親の顔を、見てやりたいものだな」
男は呆れたように、そう言って。それなのに、その言葉に反するように直後――ニタリと愉しげに笑んだ。
後に知る、その男の名は――瀬山紘一郎。
それこそが――宗助の父親であった。
男が待つ、そのマンションの最上階の部屋。そこに私を連れ立った白岩さんに、男は言う。
「白岩くん――本当に、大丈夫なんだろうね? こう言ってはなんだが……私は君たちと違って、立派に社会に貢献して生きてきた人間なのだよ。地元では、それなりの名声を博し、大事な家族だってある。こんな小娘と遊んだばっかりに、何ひとつ失うようなことは、あってはならないんだ」
ギラギラした目と脂ぎって大きな迫力のある顔つき。終始、蔑むような態度で、その男は私たちの前に存在した。
「ええ……ご迷惑おかけするようなことは、決してありませんよ。この娘に関しては、私が責任をもって一切を管理しております。どうか、ご安心して、お楽しみください」
白岩さんがそう言ったのを聞くと――
「そう……か」
男は初めて、その隣の私にジロリとした視線を向ける。
「……」
それまでも、散々。大人の男たち品定めする如き目に、晒され続けた私。
だけど、そんな私が怯ませるほどに、その男の纏った雰囲気は――何処か禍々しかった。
「歳は?」
男にそう聞かれ、私は思わず白岩さんの顔を仰ぐ。普段なら、暗黙の中で語ってはならない部分だった。
しかし、白岩さんが静かに頷くのを見て、私はそれに答える。
「14歳……」
すると――
「ふん。息子と同じじゃないか……。親の顔を、見てやりたいものだな」
男は呆れたように、そう言って。それなのに、その言葉に反するように直後――ニタリと愉しげに笑んだ。
後に知る、その男の名は――瀬山紘一郎。
それこそが――宗助の父親であった。