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クラス ×イト
第15章 じゅバく 【赤緒礼華】
 その後、白岩さんの去った部屋で――しかし、男がまず私にしたことと言うのなら、それは黙殺であった。

 何らかの仕事上の電話であろうか。ソファーに背を凭れ、命令口調で口煩くがなり立てる男。

「……」

 その長い通話が終わるのを、私は部屋の片隅に立ったまま、所在無く眺めていた。

「――いいか、今日中にやれ。明日の会議までに、方向性を纏めておくんだ」

 ようやく話を終え、だが男は難しい顔で何かを思慮するようにして、まるで私に関心を示そうとしない。

 私は戸惑っていた。今まで相手にしてきた男たちと言えば、二人になった途端に貪りつくように私の身体を求めていたから。そんな男たちにウンザリし尽くしてきた、私。

 ――ではあったとしても、欲望を曝け出しているだけ、もしかしたらその方が与し易いのかもしれない。私はこの経験の後に、そう思うに至った。

 部屋に置かれている、派手で悪趣味なオブジェの数々。男はそれらと同等であるかの如く、私を扱っているかのようでもあり。

 私は何もすることもなく空気と化すこともできずに、小一時間を待つこととなった。

 男は携帯を弄ったり、テレビを観たり、或いはじっと目を閉じたり。私に手を伸ばさない処か、その視線を一度たりとも向けようとすらしていない。その存在を完全に、無視している。

 見知らぬ男に弄ばれることなど、誰が望んでするものか。幾度経験を重ねようとも、その想いが消え失せることなどない。

「……」

 だけど、その役割を果たさなければ、私がここにいる意味などない。そう感じた時に、役割を求められないこの状況は、想像以上に私の内面を圧迫してゆく。


「あの……私、どうしたら?」


 結果――その状況にしびれを切らすように、先に口を開いたのは私の方だった。
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