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クラス ×イト
第15章 じゅバく 【赤緒礼華】
男はそれで初めて、私にジロッと横目を向ける。そして――
「小娘――思い違いを、してはいないか?」
「思い、違い……?」
「私をその気にさせるのは、お前の仕事だ。足りない知恵と青臭い身体を用いて、せいぜい、売り込んでみせたらどうなんだ」
蔑んだ眼差しとその言い様は、私をムッとさせるのに十分なものだった。
「用がないようなので、これで帰らせてもらいます」
私はツンと顔を背け、口調だけは丁寧にそう応じる。
「いいのかな? 白岩に、言い含められいる筈だぞ。私にへつらって、仕事を取ってこい――とな」
「わ、私にだって……」
私はその後――なんと、言葉を続けたかったのか。
プライドがある、と? 或いは、選ぶ権利がある、とでも?
結局、何も言えずに私が口籠った――その時。
バサッ! と、何かが私の足元で、音を立てた。
下を見ると――
「――!?」
床に散らばっていたのは、お金。およそ目にしたことのない金額の、紙幣の束だった。
ギョッとしてそれを見た私に――
「やろうか?」
男は口角を釣り上げ、そう訊ねる。
これだけあれば、借金はかなり減るのでは……? 私の頭の中を、そんな想いが否応なく、駆け回っていた。
それを十分に見越した上で――なのだろう。
「一枚、一枚――床を舐めるように、その口で拾うんだ。そうすれば、その分の金は、お前にくれてやろう」
男は私に――言う。
「小娘――思い違いを、してはいないか?」
「思い、違い……?」
「私をその気にさせるのは、お前の仕事だ。足りない知恵と青臭い身体を用いて、せいぜい、売り込んでみせたらどうなんだ」
蔑んだ眼差しとその言い様は、私をムッとさせるのに十分なものだった。
「用がないようなので、これで帰らせてもらいます」
私はツンと顔を背け、口調だけは丁寧にそう応じる。
「いいのかな? 白岩に、言い含められいる筈だぞ。私にへつらって、仕事を取ってこい――とな」
「わ、私にだって……」
私はその後――なんと、言葉を続けたかったのか。
プライドがある、と? 或いは、選ぶ権利がある、とでも?
結局、何も言えずに私が口籠った――その時。
バサッ! と、何かが私の足元で、音を立てた。
下を見ると――
「――!?」
床に散らばっていたのは、お金。およそ目にしたことのない金額の、紙幣の束だった。
ギョッとしてそれを見た私に――
「やろうか?」
男は口角を釣り上げ、そう訊ねる。
これだけあれば、借金はかなり減るのでは……? 私の頭の中を、そんな想いが否応なく、駆け回っていた。
それを十分に見越した上で――なのだろう。
「一枚、一枚――床を舐めるように、その口で拾うんだ。そうすれば、その分の金は、お前にくれてやろう」
男は私に――言う。