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クラス ×イト
第15章 じゅバく 【赤緒礼華】
 そうして私は、この男の元に通うことを許された。週に一度必ず、男のプライベートルームであるマンションの最上階の部屋を、私は訪れて行く。

 その時、まだ名も知らぬその男が、私の専属の顧客となると。私がその憎悪の向くべき場所は、自然とその男へと一点に集約されていったのだと思う。そして男も、自らそれを望むように、私への凌辱の限りを尽くしていった――。

 その一つ一つの行為を、私は言葉として語る術を持たない。

 身体の隅々に至るまで、を。ありとあらゆる趣向に、於いて。男の欲望が――その象徴である、そそり立つ肉棒が――私へと襲いかかった。


 ある日は――突かれ、貫かれ、擦られ、含まされ、呑まされ、吐き出され、て。

 ある日は――打たれ、捩じられ、虐められ、束縛(しば)られ、て。

 また、ある日は――視姦(み)られ、焦らされ、甚振られ、狂わされ、て……。


 私に向けたその欲望の源は、それでもまるで枯れようとはしれくれない。そんな男の奥底に少女への倒錯があったのは、間違いないことだったのだろう。

 そして、私が男に対する憎悪を増すほどに、男は歓喜させていたのだ。

 もしかしたら、私の精神が屈していたのなら、男は私への興味を失い、それを棄てていたのかもしれず。私にしたのなら、その方がずっと楽であったろうに……。

 けれども私は、頑なに憎悪を失うことを、何処か恐れていたのだ。それを失くすことは、全てを失うのと同義であるように、自分自身に必死に言い聞かせると。それが誤りであろうとなかろうと、その一点に於いては決して揺らぐことは、あり得なかった……。

 それが、結果として――ある出会いへと繋がろることとなる。が、それすらも、私が望んだ末路とは、言い難いものとなった。
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