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クラス ×イト
第15章 じゅバく 【赤緒礼華】
『宗助――言うべきことがあるなら、はっきりと口に出してみたら、どうなんだ?』
そう迫られ、ソウスケは――
『俺は…………』
何かを斬り出そうとして、迷っているよう――だった。
「……」
暗い部屋に閉じこもり、ともかく――私は、その父子の会話を聴いた。
それをして、私は何を思っていたのか――振り返ってみても、それは知れない。
だけど、その時の私は、溢れ出すある感情を、抑えきれなかった――。
それは――
――――くすっ。
まるで操られたみたいに、口元から零れていた――笑み。
『商品』となって、ついぞ忘れかけていた突然の感情の訪れを、私は密かに噛み殺す。
だけど、それなのに――
「ふ、ふふ……あは……あはは――アハハハハッ!」
一度、期せずして表れたそれを、私はコントロールすることが――できなかった。
私は以前にすら、憶えのないほどに、まるで狂ってしまったように――笑って、る。
二人の会話を聴き、何故それが可笑しかったのだろうか。恐らく真面な理由など、そこには存在すまい。
只――自分の同じ歳のソウスケの悩み(?)は――その時の私にとって、至極真っ当であり率直過ぎるように思えて――それは、不思議と可笑しく。
先程まで、私を欲望の捌け口としていた男。その父親としての横顔が――また、珍妙なまでに可笑しかった。
そして――そして――――それを、笑う自分自身が、やはり可笑しくなると――。
止めどなく、笑った挙句に――それが、どうしようもない程の、哀しみの表れなのだと、私は――
そんなことに――――気がついて、いた。