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クラス ×イト
第15章 じゅバく 【赤緒礼華】
「……」

 白岩さんに示されたカフェに入ると、私は立ち止まりその店内を見渡す。そして、俄かに心音が早まっているのを感じていた。

 考え得る待ち人のイメージは、二つ。それが、父なのか子なのか――?

 仮に私を待っているのが、父親の方の――瀬山紘一郎であったのなら、私はこの先もさして変わらない境遇を強いられるだろう。そう思えばこそ、私の緊張は増してゆく。

 だけど白岩さんの口振りから察するのなら、その最悪の可能性は低い筈。それでも――

「――!」

 と、私は奥の席に佇む、彼の顔を見つけた。

 やはり……。そう思い胸を撫で下ろしもするが。だからと言って、彼と会うことを歓迎する理由など、私にはまだ無い。


 しかしそれでも、話を聞く必要は――あった。


 私は彼の居る席に歩み寄ると、その顔にじっと焦点を合わせる。

「あの……とにかく、座って」

 瀬山ソウスケは、恐る恐る私に席を勧めた。

「……」

 向かいの席に座り、またその顔を私は見つめる。

 父親とは似つかぬ、すっきりと整った顔。二度目となるこの時に、私はようやくそんな箇所へ意識を届かせていた。

 それも、その筈……。数日前の出会いはといえば、それはあまりに突発的で波乱を有したもの。私は服さえ身に纏うことなく。それはおよそ、中学生同士が知り合う場面としては、不適切過ぎた……。

 だから、先ず――その気まずさが、私たちの間を支配するのは、当然のことだろう。けれども……その程度では、このわだかまりの一端すら、説明するには不足してる。

 互いに想いを持ち寄りながら、まだそれを隠すようにして――ともかく、私たちは席を同じくした。
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