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クラス ×イト
第15章 じゅバく 【赤緒礼華】
「来てもらって、悪かったね。瀬山宗助……です」
「……」
一応、その名は知っていた。そして、こちらも既に名乗ってある。その一言では何も状況は変わらずに、また無下な沈黙が二人を包みつつあった。
その気まずさを、私は嫌う。
「私を呼びつけた。その理由を、聞かせて」
キッと厳しい視線を向けると、宗助はその表情を引き締めた。そして――
「ごめん……」
その頭を深々と、垂れている。
その姿が刹那――私をカッとさせた。
「貴方に謝ってもらう理由なんて――ないっ!」
私は頬を強張らせながら、そう言い放つ。
宗助が私に、害をなした事実などなくて。それは宗助だって、わかっている。なのにそうするのは、そこに父の存在を踏まえた上のことで――あり。
それは取りも直さず、私がどんな扱いを受けたか、宗助も理解している――ということ。
もちろん、あの姿を現した時点で、取り繕える筈もない。そんなこと、わかってるのに。だけど――それでも。
宗助に頭を下げられることが、私は――とても、不快に思えた。