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クラス ×イト
第15章 じゅバく 【赤緒礼華】
「そうだね……。でも、それでも……俺は君に、謝りたかった。だから……ごめん」
「……」
再び謝罪を口にした後、宗助は静かにその気持ちを語り始める。
父の行為を知り、それに幻滅したこと。やがて真に事情を察するに至り、激しい怒りを覚えたこと――。
宗助は父を責めて――その結果、苦しい弁解に終始する父の姿に、新たな失望を生じた――ようだった。
そして続く言葉の中で、私が『自由』となった理由も語られてゆく――。
自分が知り得たことを、母に話す――と。宗助がそんな旨を伝えたのは、その言葉を父から引き出す為であった――という。
「頼む……秘密にしてくれ。その代わりに、お前の望みを聞こうじゃないか」
それを受けて、宗助が出した条件は二つだった――と語り。その一つが、私(の父親)の借金を肩代わりすること、であると明かした。
「……」
その話を聞くと――私の想いは、より複雑なものと――なる。
宗助が話したことは、真実であるように思える。だとしたら、私は彼に感謝すべき――なのかもしれない。否――本来ならその意を示す為に、頭を垂れるべきは寧ろ私の方だった。
だけど――私の気持ちは、彼へ感謝を示す方向に、まるで振れようとはしない。
それ処か、私は――
「それで……貴方は私に、どうして欲しいの?」
その穿った視線を、宗助へと差し向けていた――。